Windowsのタスクトレイに常駐し、あらゆるアプリのキー入力にメカニカルキーボード風の打鍵音を付与するアプリ。テキストエディタでも、ブラウザでも、チャットでも、キーを押すたびに「カタッ」「コトッ」という心地よい音が鳴る。静音キーボードやノートPCでも、メカニカルキーボードを打っているような打鍵感を手軽に味わえる。
主な機能
- 8種類の音色: Classic Linear / Tactile / Clicky / Silent、Topre Soft、Thock Deep、Vintage PC、Typewriter。リニア軸の低音、クリッキー軸の高音、静電容量無接点風のしっとりした音、ガスケットマウントの深い低音、レトロPCやタイプライターの金属音まで揃えている。
- スタビライザー特性の再現: Space・Enter・Backspace・修飾キーには、低音側にシフトした専用素材とローシェルフの低域ブーストを使い、大きなキー特有の「ボコッ」という重い音を表現。ブースト量は音色ごとに調整している。
- キーアップ音: キーを離したときにも短くフェードする音を鳴らす。押下音とわずかに時間差があるので、本物のキーボードのように別のイベントとして聞こえる。
- リバーブ: Schroeder-Moorer型のFDNリバーブを搭載し、ルームサイズ・ダンピング・ウェット量を調整できる。
- システム音量への追従: Windowsのマスター音量とミュートに連動するので、PC全体の音量を下げれば打鍵音も下がる。
- ビープ音モード: 矩形波やサイン波によるレトロな電子音(8bitゲーム風・レトロコンピュータ風など)にも切り替えられる。
入手方法
- 有料版(全機能): Microsoft Storeで配布。全8音色と、音量・エフェクトの調整に対応。
- 無料版: BOOTHで配布。音色はClassic Linear固定で、ON/OFFのみ操作できる。単一のexeでインストール不要。
起動するとタスクトレイにアイコンが表示され、右クリックで設定画面を開ける。
技術構成
C#(.NET 8)とWPFで開発し、配布用exeは.NETランタイムを同梱した自己完結型の単一ファイルにしている。音声はモノラル16bit/44.1kHzのWAV素材を基に、独自のDSPでエンベロープ・フィルタ・リバーブを処理する。設定は %APPDATA% 配下のJSONに原子的に書き込み、書き込み中に電源が落ちても設定が壊れないようにした。
工夫した点
一番苦労したのは、打鍵音を「自然に」鳴らすことだった。同じ音をそのまま繰り返すと、連打したときに機械的で不自然な音になってしまう。そこで素材からピッチを少しずつ変えたバリエーションを作り、1打鍵ごとにランダムに選んだうえで音量にもわずかな揺らぎを加え、人がキーを打つときの自然なばらつきを再現した。素材ごとの音量や質感の不揃いにも悩まされたため、全音色の最終出力の音量を計測する専用ツールを作り、実測値をもとに音色間の音量差を補正している。同時発音数は32音に制限して古い音から自動で消し、高速タイピングでも音が濁らないようにした。「音源×エフェクト」の組み合わせを1次元の音色プリセットにまとめ、ユーザーが迷わず選べるUIにしたのもこだわりのひとつ。DSPロジックは304件の単体テストでカバーし、音色を追加しても既存の鳴り方が崩れないようにしている。
普段何気なく打っているキーボードの音を「後から足す」のは地味な機能だが、実際に鳴らしてみるとタイピングのリズムが体感しやすくなって、作業が少し楽しくなる。静音キーボードやノート PC で作業している人ほど、違いを感じやすいはずだ。